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炎柱

第10章 継子 続





……

一際、大きな笛の音が響く。


眼前に、鬼の姿を捉えた。


その鬼は、
額から大きな角を二本生やし、

青みがかった髪色をしていた。

男童のように
寸足らずの着物に身を包み、

長い横笛を携えていた。


もう既に、
数名の隊士が戦闘に参加していた。


鬼が、笛をひと吹きした。


すると、目の前に居た隊士の身体が、
真っ二つに裂け、そのまま生き絶えた。


……!!

凄まじい威力…!


この鬼が笛を吹くと、
突風と共に斬撃が襲ってくるのか…


かまいたち…のようなものかな…


間合いの外から
これ程の攻撃を喰らっていたら、

柱が来るまでに全滅してしまう…。


身体が、恐怖に竦み上がる。

全身が、震えだす…。

怖い…。

心が、恐怖に支配されそうになる…。



心を燃やせ!!

不意に、師範の言葉が脳裏を掠めた。



…そうだ。

私は炎の呼吸の使い手。
炎柱の継子。


師範のように、
この場に居る者達を守り抜く!


そうでなくては、

師範の継子として、
恥ずような真似はしない…!


呼吸を整えて、全神経を研ぎ澄ます。


間合いの外に居て攻撃されるのであれば…

どこに居ても同じ事…!


刀を構え、力強く地を蹴る、


炎の呼吸 壱ノ型 不知火


一瞬で間合いを詰め、鬼の頸を狙う。


が、鬼は即座に反応し、

私の一撃は、
鬼の胸を掠めるに留まった。


すぐ様、鬼から距離を取る。


鬼は私の方を向き、声を発す


お前、他の者よりは使えるようだな。
だが、柱ではない。

柱でないのなら、俺が負ける事はない。


血の通わぬ、
抑揚のない声で告げると、


素早く笛を吹いた。


私は、すぐ様刀を構え直す。


笛の音と共に、
巨大な斬撃が降ってくる。

なんとか躱していくが、
それでも何発かくらってしまい、
その斬撃が肌を切り裂いた。


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