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炎柱

第8章 炎柱の恋 杏寿郎side





路地からやっと出て、
先程の店へと歩を進める。


あの者達には悪いが、
美玖は返してもらわねばならない。


店の側に行くと、
今まさに中に入ろうという所だった。


すぅっ…


君達!
すまないが、
その子をこちらに返してもらえるか?


いつもより大きな声で言い放つ。


男達がこちらを見る。

…こう言ってはなんだが、
チンピラのような輩だ。


俺の声に気づき、
美玖もこちらを振り返る。

その頬には涙が伝っていた。


ちらりと横目に店をみる。
細い路地の先にある
古ぼけた茶屋。

このような人目につかぬ場所にあるという事は…


もしや、ここは待合…?



身体がカッと熱くなる。
先程とは比べ物にならない怒りが
己の心を支配する。


このような店に、

美玖を無理やりに
引っ張ってきたのか、この者達は。


なんだ〜?てめぇ
こいつは今忙しいんだよ!

そうだな、
明日になれば返してやるよ!


げらげらと笑いながら
男がこちらに声をかけてくる。


明日になれば…だと?
またも激しい怒りがこみ上げてくるが、

ぐっと押さえ声を張り上げた。



そうか。残念だ!

では、少々痛いが我慢してくれ。



そう言い捨て、
すぐさま男達を当身で吹き飛ばす。

その際、首に1発ずつ入れておいた。


しばらくは起きないだろう。



きょ、杏寿郎さん…
この人達…


おずおずと、美玖が口を開く。


大丈夫だ!殺してはいない!
気を失っているだけだ!

美玖、荷を貸すんだ。

送っていこう。


そのまま、

美玖の手を取り歩き出した。




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