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炎柱

第7章 炎柱の恋






ま、待って下さい…!
そうじゃなくて…!

杏寿郎さんの事は、
大切に思っています…。

でも、兄のように慕っているわけではなく…

私はずっと…
1人の男の人として、

杏寿郎さんを…お慕いしていました…。



変な誤解をされたくなくて…

悲しげな彼の顔を見たくなくて…


結局、
想いの丈をぶちまけていた…



…杏寿郎さん…

どう、思ったかな…



ゆっくりと、
杏寿郎さんの方を向く。


杏寿郎さんは、
俯き加減で、
何か考え込んでいるような、

そんな、真剣な表情をしていた。



沈黙が続く…



耐えきれなくなって、
たまらず、彼の名を呼んでみる。



…杏…寿郎…さん…?




彼が、重い口を開いた。




…すまない。

美玖の気持ちに
応えてやる事が、俺にはできない。



………。

分かってた…けど、

涙が自然と溢れてくる…。



い、いいんです…。

何とも思われてないって、
ちゃんと、分かってました…。


お皿、下げますね。

ゆっくり、
身体を休めて下さい…。


俯きながら、そう言って、
私は、そそくさと客間を後にした。


お風呂を済ませて、

食器を洗い、

そのまま、自室で寝た。




…今日の出来事が、

夢だったらよかったのに…。



ー……


翌朝、

朝餉の用意の為に起きると


部屋の前に1枚の手紙が置いてあった。




美玖

昨晩は世話になった。
用事ができたから、
このまま行く事にする。

勝手をしてすまない。

今日は、ゆっくりと休むといい。

身体に気をつけて。



手紙をしまい、
そのまま布団で二度寝した。



…お見送り、できなかったな…。



あんな事になっちゃって…

もう、来てくれないかな…。



また、涙が溢れてくる…。





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