第6章 温泉
すると、
きょとんとした顔で話を聞いていた煉獄さんが、
満面の笑顔で笑い出した。
ははは!!
美玖は本当に面白いな!!
〜〜〜!!
わ、笑い事じゃないです…!
こっちは、大事件だったんですから!
私って、女の子として見られてないのかな…って、
そう…思って…。
あれ?なんで?
これじゃまるで、
煉獄さんに女として見られたいって
そう、思ってたって事…?
私がもやもやの正体に気付いた頃、
後ろで笑っていた煉獄さんの手が
私の頬を包んで引き寄せられる
すぐ近くに、煉獄さんの顔があった。
れ、煉獄…さん…?
初めて見た、と思う。
穏やかに微笑む煉獄さんを。
心臓が、早鐘を打つ…。
…笑ってすまない。
ところで、今の話だが、
美玖も、
俺と同じ気持ちだと、
そう解釈して良いのだろうか?
鼻と鼻がつきそうな距離で、
先程と同じ色香を纏った声で話す。
〜〜〜
恥ずかしくて声にならない…。
煉獄さんってば、
絶対分かってるくせに…。
でも…
でも、
ちゃんと、伝えたい。
……はい。
俯きながら、
小さな声で呟いた。
うん?聞こえないな。
(ええっ!)
予想外の言葉に思わず顔を上げる。
その時、
煉獄さんの唇に自身のソレが触れる。
掠めた、と言った方がいいかもしれない。
あ、今のはっ、違くて…!
私がわたわたとしていると、
ふっ…と笑って
煉獄さんから、口付けられる。
先程とは違う。
しっかりと、私の唇を捉えて離さない。
そのまま、煉獄さんの舌が、
私の唇を抉じ開けて入ってくる…。
私の舌へと、器用に絡ませてきて、
そのまま、深く、深く口付けられる。
(…息が…もたない…)
全神経が、
唇に集中しているかのよう…。
…頭がぼんやりとしてくる。
酸素を求めて、
自然と呼吸が荒くなっていく…。