第6章 温泉
ふいに、煉獄さんの唇が離れていった。
私は、はぁはぁと乱れた呼吸を整えながら、
れ、煉獄…さん…?
名前を呼びながら、
顔を上げ、煉獄さんを見た。
…どくんっ
唇についた唾液を
舌で舐めとりながら、私の事を見つめる…。
初めて見る、
煉獄さんの色っぽい姿から、
目が離せず、身動きすら取れない。
獲物を見つけた獣のような眼差し…。
そのまま、黙って見つめ合い、
だんだんと、煉獄さんが近づき、
気がつくと、
押し倒されていた。
煉獄さ…
慌てて声を発すると
被せるように彼が言った。
美玖、
名前で呼んでくれないか。
えっ…名前…?
!…まさか、知らないのか…?
し、知ってます!
煉獄さんの名前を知らない隊員なんて、
居るわけがないです…!