第4章 合宿
伊月side
それは練習後、みんなで風呂に入っていた時のこと。
日向:「伊月、ちょっといいか?」
ん、どうしたんだろ日向。
今日の練習試合のことかな。
日向:「俺が前、まゆかのこと好きだって言ったの覚えてるか?」
伊月:「あぁ。」
そんなの忘れるはずがない。
日向の気持ちは俺と同じなんだから。
こうやってまたその話をしてるってことは、日向の心は決まったってことだろ…?
日向:「じゃあ、俺が夏休み中にまゆかに告白するって言ったのも覚えてるよな?」
伊月:「あぁもちろん、覚えてる。」
日向:「俺さ、お前がすごく羨ましい。 まゆかと家が近くて、最近はよく登下校も一緒にしてる。でも、それだけじゃねぇ。」
『お前と喋ってる時のまゆかはすごく楽しそうなんだよ。あんな笑顔、俺には滅多に見せてくれねぇのに』
俺と喋ってる時のまゆかが楽しそう…?
確かに家が近くて良かったとは思う。
まゆかがみんなに見せないような表情を俺に見せるのはきっと、小さい頃から一緒にいて慣れているからだろ…?
まゆかにとってきっと俺はただの幼馴染だから。
日向は後しばらく何かを考えた後、大きく深吸をしてから口を開いた。
日向:「だから俺さ、明日告白しようと思ってるんだ。こんなこと伊月に言うのもなんなんだけど、手伝って欲しい。」
その視線はまっすぐ俺の方を向いていて、まゆかのことを想う日向の気持ちが痛いほどに分かった。
日向が告白したら、まゆかはどう答えるんだろう…。
俺はどうすることもなく、この恋はあっけなく終わってしまうかもしれない。
でも! 俺は日向を手伝いたい!
いつも俺たちを支えてくれる日向を…!
それは自分でも驚くぐらい真っ直ぐな気持ちだった。
伊月:「いいよ、手伝う。」
日向:「サンキュ。でも、それはお前の本当の気持ちか?後悔してねぇ?」
伊月:「してない。むしろ日向には感謝してる。これは俺の本心だから、安心して告白して!」
日向:「伊月、お前っ…。 本当にありがとうな。」
そのあとは日向と作戦を立てた。
最後に、日向に頑張れって言ったら、
「どうせダメだけどな…w」
と苦笑いをしていた。