第3章 熱
火神君が運んでくれて、いまは保健室。
とりあえず俊くんに何があったか聞かないとね。
まゆか:「俊くん、大丈夫?」
伊月:「大丈夫。 急に倒れたりなんかして、ごめん…。」
ほんと心配したんだから、でも、
まゆか:「分かってくれたんならいい。 今度からは、何かあったらちゃんと言ってよ?」
伊月:「…うん。」
そう言ってうつむいた俊くんの顔は、いつもより赤かった。
きっと熱あるんだ。
まゆか:「熱はかろっか。あ、そこにドリンクあるから。」
ピピピピピ…。
体温計を見ると39.4℃。
思わず二度見してしまった。
が、読み間違えるはずもなく何度確認しても表示は変わらない。
まゆか:「こんなに熱あって、よくあのメニューこなしてたね…。いつから熱あったの?」
俊くんが辛い思いしてるのに、それに気づかなかった自分が悔しかった。
伊月:「熱は今日の朝から。 本当は最後まで部活するつもりだったんだけど。黙っててごめん。」
まゆか:「そんなに謝らないでよ。 私も、気づけなくてごめん。」
伊月:「大丈夫だって、気づかれないようにしてたの俺の方だしなw」
あ、やっぱ隠してたんだ。
きっと私、信じられてないんだな。
嫌でもそう思わなくちゃなのかもしれないけど、やっぱ聞いて見よう。
まゆか:「なんで教えてくれなかったの?私の事、信じてないから…?」
伊月:「違う、まゆかのことは信じてる。
でも、俺にはイーグルアイぐらいしか取り柄ないし、練習休んだらみんなにおいてかれちゃうから…」
伊月:「それに、まゆかは優しいから、熱ある俺を部活に参加させるわけないからな。」
そうだったんだ。
俊くんに優しいって思われてたのは、正直嬉しかった。
俊くんが言ったように、熱があること知ってたら、部活をするのも止めただろう。
…でも、俊くんは一つだけ間違えてる。
俊くんの取り柄は、イーグルアイだけじゃない。