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【魔入間】貴方の背中が好き

第1章 【1年前】


「あ、あの……」

『…はい?』

振り返ってみると、話しかけてきたのはマルバス先生だった
私のクラスの担任で、大人しくて素朴な顔をしていて、拷問学の教師というものすごいギャップ付き


「毎回申し訳ないんだけど…ロノウェくんが…」

『…資料を届けるなら私、と……?』

「そうなんだよ…幼馴染なんだってね?どうしてもって言うからお願いしたいんだけど…いいかな?」


内心思ってる。
めんっっっっどくさい。
放課後だし、バラム先生のところ行く時間なくなるし!

私はマルバス先生からプリント資料を受け取りロノウェの元へ行く
コンコンと軽くノックをすると少しだけ隙間を開けられてロノウェと目が合う


『…持ってきたけど。めんどくさいから早く受け取って』

「やぁ!文句を言いつつやっぱり来くれるんだね!!」


私だと確認するとドアを大きく開けて喋り出す
私の精一杯の迷惑顔にも気付かない。


『はぁ………ん…??』

「まぁそんなにため息をつかないでくれ!一般生徒と関われない僕の為だと思って!」

『…関われないんじゃなくて関わろうとしないんでしょ……それに、私も一般生徒なんですけど…』

「一般の男悪魔に触れられると死んでしまう可哀想な僕を助けてくれたまえ!それにキミは…フォカロル家のご令嬢であり、僕の幼馴染だ。一般生徒と言うには少し勿体ないではないか!!」


相変わらず自分ルールが大袈裟…
黙ってればカッコイイのに。タイプではないけど。
バラを巻き散らかして決めポーズをキメるロノウェを他所に
私は体に魔力を込める。
ふわふわと煙を纏いグングンと容姿が変化していく
私はロノウェより大きくなったその体で肩に手を置く


『それ、言うのやめてって言ったよね…?』

「っ!!!」


ロノウェは顔を歪ませる。
額に汗をかき、足は大まかにガクブルと震えている


「わ、悪かった!!だ、だから…男になるのは辞めてくれ!!」

手を離すと床になだれ落ちて膝と手を着くロノウェ
__名家フォカロル
家系能力とは別で変化の魔術を持つ。
そのため、フォカロル家では女は男になる魔術を強要されてきた。魔力を体全体に流して頭の中でイメージをふくらませるとイメージ通りの見た目になれる
魔力の消費はそれほどでもないが、かなり疲れる。集中力いるし。
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