第10章 最終章 最後の歌
「うっ・・・・・・・・・」
「ミルカ、ミルカぁあ・・・・・・!!」
彼女は吐血し、身体の各部からも血が出ていた。
かなり衰弱してしまったようで、目は閉じかけていた。
「ごめんなさい、私・・・・・・・・・最後まで、皆さんに迷惑をかけてばかりだわ」
「最後だなんて・・・・・・!何を言うんです、しっかりしなさい!」
私はそう言ったが、彼女は弱々しく笑うだけだった。
涙が溢れてくる。頬を伝い、彼女の頬へと流れていく。
「泣かないで、ジャーファルさん・・・・・・そうだ、歌を歌うわ。貴方だけのために」
彼女はそう言って、高く、どこまでも澄み渡っていきそうな歌を歌った。
綺麗な、私のためだけの歌。骨の髄まで彼女の存在が染み渡っていく。
しかし現実は甘くない。
彼女は歌い終わった後、更に吐血してしまった。
「ああ・・・ミルカ・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・ねえ、ジャーファルさん。私、最後にこれを貴方に渡したいの」
彼女はそう言って、海のような青い色から炎のような赤い色に変わってしまったネックレスを渡してきた。
「魔力も無くなったし、私にはもう、不必要だから・・・
私だと思って、付けていてください」
私は何も言わず、黙って頷き、それを受け取った。
それを確認した彼女は、にこりと笑い、そのまま呼吸を止めてしまった。
「うわああああああああああああああああああああ!!!」
私は叫ぶようにして、いつまでも泣き続けた。