第11章 エピローグ
「ぁ・・・・・・・・・ミルカっ!!!」
私は子供がいるにも関わらず、そばへ行って彼女を抱きしめた。
強く、とても強く。もう離さないくらいの勢いで。
でもすぐに大切な用事を思い出し、離れる。
「ミルカ、貴女に渡したい物があるんです」
私はそう言って、彼女の髪の色と同じ、金色の婚約指輪を彼女の指にはめた。
「え・・・・・・・・・これって・・・!」
「残念ながら、貴女が亡くなってすぐに出来上がったんです・・・でもこれで、ようやく渡せた」
私は自分の指につけたお揃いの婚約指輪を見せながら、にこりと微笑んだ。
あの時のような無様な泣き顔は、もう見せないように。
「ありがとう、ジャーファルさん・・・・・・大好きです」
彼女が微笑んで言った後、彼女の身体が消え始めた。
「そろそろお別れの時間ですね。・・・マギ様、ありがとうございました。さようなら!」
彼女はそう言って・・・消えてしまった。
いや、消えたんじゃない。私のそばに、いるんだ。
金色の、ルフに・・・・・・私だけの守護者になって、私だけの歌姫になったのだ。
「・・・さあ、彼女から技を伝授された、我が国自慢の料理人達の料理を食べにいきましょう!」
私はそう言って笑い、彼らを先導し歩き始めた。
バルバッドの一件のせいで元気が無くなった二人を元気づけなくては。
クーフィーヤにつけた赤い宝石が、風でふわりと揺れた。