第3章 幸せは苦しみへ
それから私は、数日置きに彼のもとへ軽食を運んだ。
その度彼は喜んでくれて、時には今日起こった出来事なども話してくれた。
「ジャーファル様、本日は桃のアイスクリームをお持ちしました」
「ありがとう、ミルカさん。それと、そんなに硬い話し方でなくてもいいですよ」
「そんな、なりません!私は貴方と気安く話せるほどの人間ではないので・・・」
「今更何ですか。もうこうして色々と話している仲なのに。まあ、普段もしっかりした貴女らしいですけど」
「・・・・・・・・・見ていらしたんですか!?」
「ふふ、たまたま調理場の前を通りかかった時にね。そばにいた空腹のマスルールが邪魔をしに向かいそうなので、すぐ離れましたがね」
「そ、そうだったんですか・・・それはいつのお話でしょうか?」
「今日です」
「ええっ!?」
「気づいていなかったのはおそらく貴女だけでしたよ」
・・・そんなやりとりはとても楽しいもので、私は自然と
この時が終わってほしくない、と思っていた。
しかし、ただの料理人である私がこんなことをしていいのかという疑問もあり、胸がズキンと痛む。
・・・・・・・・・でも、私はずっとこうしていたい。
彼の話を聞きたい。彼の一喜一憂を見たい。
そう、きっと、この気持ちは――――――――――