第2章 ルフの導き
「・・・・・・ふう、美味しかった。これは君が作ったのですか?」
私が赤面している間に、彼はもう果実水を飲み終えていた。
「あ・・・・・・はい、そうです」
「そうか、君は料理人でしたね。とてもほどよい甘さでした。今度は是非、何か料理を持ってきて頂きたいですね」
またも彼は、私が驚く言葉を放つ。
私の心臓はドキドキバクバクと、大きな音を立てていた。
「・・・お望み通りに、致します」
「ふふ、いいんですよ。女性がこんな時間に起きてても健康に良くないでしょう。さあ、もう寝なさい」
私ははい、と返事をして頭を下げ、扉の外でもう一度礼をしてから扉を閉めて部屋へ戻った。
「・・・また、来てくださいね」
小さくそんな声が聞こえた気がした。おそらくそのせいで浮かれてしまったせいだろう、私は影で今までのやりとりを見ていた人に、全く気がつくことが出来なかった。