第10章 最終章 最後の歌
*マスルール目線*
「わあ、あたしファナリスと戦うの初めて!でも、絶対負けないんだから!」
俺が戦う相手は、シトセル、とかいう名前らしい。
強気な人っぽい。年齢は、まだ子供といったところか。
とりあえず、シンさんの命通りに、片付けよう。
「じゃあよろしく、ファナリスく・・・・・・ってうわっ!最後まで喋らせてよう!」
相手も体術を使うらしい。俺が蹴ろうとするとかわし、殴りかかってきた。
しばらく、そんな感じが続いていた。
(力が、互角・・・・・・)
俺はよく、シンさんやジャーファルさんに「力が強い」と褒められていたほうだった。
ファナリスということもあるし、男の中では力が強い方なんだろう。
でも、俺が戦っている相手はわりと小さな子供。
しかも女だった。
なのに互角なのは、ちょっと不思議なことだった。
「ふう、やっぱりなかなかだねえ、ファナリスって!ここまで戦える相手、あたし初めて~!」
こんなににこやかな笑顔をする女の子が、悪なのか。
指をボキボキと鳴らす音も、嘘のようだった。
「でもさあ・・・長々とした勝負って、苦手なんだよね」
冷徹な笑顔。
「だからサヨナラ、ファナリスさん」
「じゃあな」
一瞬で、勝負がついた。
俺が戦った相手は、俺のすぐ近くで倒れていた。
一瞬で近寄ってきた彼女の腹を、俺が迎えるように殴ったからだ。
「・・・ふう」
俺は久々に体を使って疲れてしまった。
その場に座って、先輩達の戦いでも見よう。
右のほうを見ると、先輩が戦っていた。