第10章 最終章 最後の歌
*ヤムライハ目線*
王の命令に返事した私は、ピスティと一緒にホシハという女性と戦うことになった。
「ふん、サリ達を傷つけた奴のお仲間と戦うのね、私は」
かつて王宮で働いていたと聞く彼女は、めんどくさそうにあくびをし、急にその表情を激変させた。
「お前も、お前も!みんな邪魔なのよ!!
みんなみんな、燃えてしまええええええっ!!!」
彼女は叫び、周りの黒ルフは騒ぎ出す。
戦闘体勢になったようだ。
「ヤム、あたしは空から攻撃する!地上からは、よろしくね!」
そう言って鳥に乗り、飛び立つピスティを見上げながら、私は杖を強く握った。
「ほらほらあっ!燃えちゃえ!!」
敵は灼熱の連弾をひたすらに打ってくる。
私の方にも、ピスティのほうにも飛んでいて少し厄介だ。
「くっ・・・・・・面倒ね!挟み撃ち出来ればいいけど、それをさせない攻撃の仕方・・・作戦が立てられないわ!」
動き回る敵になんとか狙いを定めて魔法を放ち、ひるませた時・・・・・・
敵の様子がおかしいことに、私は気付いた。
「ピスティ!来て!!」
様子を見るため空から攻撃していた彼女を呼び、並ぶと敵はゆっくりと下げていた顔を挙げた。
表情は、歪んだ笑顔だった。
「ワタシを怒らせたわね・・・いいわ!とっておきの魔法、使ってやるんだからっ!!」
敵、ホシハは笑い声を挙げて、杖を空にかざした。
「灼熱地獄」
その一言の呪文が終わる頃――――――私たちの真上の空は、真っ赤になっていた。
空が赤くなったんじゃない、炎が真上にあるんだ!
「ヤム!危ないっ!!」
怯んだ私を、ピスティが咄嗟に庇って私の上に覆いかぶさった。
「燃えろおおおおおおおおおおおおっ!!!」
次の瞬間、私たちは炎に飲まれた。
「ピスティーっ!!!」
私はありったけの魔力を使って炎を消した。
大切な親友は、背中に大きな火傷を負い、倒れていた。
「よく・・・・・・・・・も・・・・・・」
反撃しようと思った。でも、身体が動かなかった。
魔力を使いすぎたんだ。
「・・・残念。さすが八人将ね。これじゃ死にはしないか・・・でも、十分に怪我をさせたから、いい感じかな」
去っていく敵の後ろ姿が、意識がなくなる前に見えた。