第10章 最終章 最後の歌
私はまだ探していない海岸付近を探すことにした。
「ミルカ・・・・・・無事でいてください!」
人ごみを掻き分け、砂埃を舞わせ、私は地を駆ける。
野を走る獣のように。
やがて、人気の少ない場所に出ると、
「結構待ったぜ?ジャーファルさんよぉ」
男性の声が聞こえた。声のした方向を見ると――――――
「ミルカっ!!」
愛しい彼女が、見知らぬ男性に捕らえられていた。
彼の横にはかつてミルカを虐めていたホシハ、ツミテ、シトセルがいる。サリと、シャナもいた。
「誰だ、お前は」
私はクーフィーヤを投げ捨て、眷属器を出して身構える。
声は自然と殺気が篭った声になっていた。
「俺か?俺はジュウト。こいつの力を奪って儀式し、この国の全てを奪い取ろうと考えた張本人さ!」
彼は狂ったような笑い声を挙げる。
この国を、乗っ取るだと・・・!?
「やめて!・・・ジャーファルさん、逃げて!!」
ミルカが暴れて抵抗しながら私に向かって叫んだ。
「・・・ったく、うるせーよ!大人しくしねえと、殺すぞ」
彼女は脅迫され、びくりと体を震わせ、すぐに大人しくなった。
可哀相に、顔が真っ青になっている・・・
「許さない・・・・・・・・・絶対に!!!」
私は叫び、眷属器を発動させて彼に攻撃を仕掛けた。
しかし彼の周りの女性たちが邪魔をしてくる。
「くそっ・・・・・・」
1対6とは、卑怯な。
「ジャーファル!」
策を講じようとすると、後ろからシンの声が聞こえた。
そこには八人将もいた。
「シン!皆・・・!!」
「八人将、全員行け!ジャーファル、お前はミルカを救うんだ!」
シンの力強い声に合わせて、全員が駆けていく。
私も主の声に大きく返事をし、ジュウトの元へと走った。