第9章 甘い約束
*ミルカ目線*
私は最低な人だ。
目が覚めたらまた、彼が泣いていた。
泣かせた原因は、もちろん私。
彼に迷惑をかけないために離れようと思った筈なのに、それは私も彼も望んでいなかった。
自分の気持ちくらい自分でわかっているはずなのに、わかっていなくて。
彼の気持ちだって、何一つ理解できていなくて。
自分が憎い。このままゆっくり死んでいけたらいいのに。
「・・・・・・・・・ミルカ!大丈夫ですか?」
静かに泣いていた彼が、私が起きたことに気づいた。
私は怖くてたまらなくなった。勝手に飛び出した上に崖から落ちたりなんかして、彼はきっと怒っているだろうから。
「・・・ごめんなさい」
私の口からは、虫の鳴き声ほどのか細い声が出てきた。
目からは自然と涙が流れてくる。色んな感情が入り混じった涙が。
怖い。逃げたい―――――――何もかもから。
そう思っても体に力が入らず、ぎゅっと目を閉じでいると、
彼はそっと私の身体を抱きしめた。