• テキストサイズ

歌姫のguardian

第8章 透明愛歌


*ミルカ目線*

私は走って走って、海の上に位置する崖まで来てしまった。

一体どの道を走ったのだろう。何を考えていたのだろう。

何も解らなかった。

『いいのよそれで。貴女は自分が嫌で逃げ出した。それでいいの。悲しいことは全て、風に乗せて何処かへ運んでしまいなさい』


何処からか聞こえてくる妖艶な声。私は自然とその声に従って、歌を歌った。

後ろから吹く風に乗せて、海を渡って、遠く彼方まで・・・

届け、私の歌。



「ミルカ」

ちょうど歌が終わったと同時に、後ろから優しい声が聞こえた。

彼は涙を流しながらこちらへ歩み寄ってくる。



そんな彼に抱きついて、謝れば良かったのに。
それで良かったはずなのに。




私の体は意思とは裏腹に、後ろへ下がっていた。


「危ない、ミルカっ!!」



彼の声が聞こえると同時に、



足場が崩れて、私の身体は宙に浮いた。

「ぁ・・・・・・いやああああああああっ!!!」

怖さのあまり、何も考えられなくなった時、



『その歌・・・・・・兄さんに捧げてもらうわ、ミルカ」



ツミテ先輩の声が、自分の中から聞こえた。
/ 68ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp