第8章 透明愛歌
「ミルカ、ミルカ・・・・・・!!」
目を覚ますと、いつもの姿の彼がいた。
さっきまでここにいたはずのシンドバッド王様とヤムライハ様は居なかった。
「良かった、あいつを追い出せて・・・嗚呼、ミルカ・・・・・・」
ジャーファルさんは泣き崩れて、私の胸元に顔をうずめてしまった。
それほどまで彼に心配をかけてしまったんだ。私は、また・・・・・・・・・
「ごめんなさい、ジャーファルさん・・・」
「何を言っているんですか。貴女は何も悪くないんですよ?」
謝ると、彼は優しい言葉をかけて頭を撫でてくれた。
彼は彼なりに私を気遣ってくれているのだろう。でも、私は自分の無力さを思い知らされるだけだった。
つう、と一筋の涙が頬を伝っていく。私の中の何かと共に。
「ミルカ・・・?」
心配した顔で私を覗き込む彼に、私は告げた。
「・・・私、貴方とはもう一緒にいられないわ」
それが、私の思考の行く末だった。