第6章 悪夢の中の貴方
私はいつの間にか立て膝をついていた。そのまま少年を凝視する。
彼は確かにジャーファルさんだった。彼のあの目は、サリさんと戦っていた時のジャーファルさんそのもので、鏢も彼の物と全く同じだった。
そういえば以前、彼と寝ていた時に彼が「暑い」と言って服を脱ぎだした時があった。
その時、私は見てしまった。傷だらけの彼の身体を。
彼の傷は、おそらくこうして戦ってきた時についた傷なんだろう。
少年を見て、そう推測出来た。
「どう?大好きな人の過去を知った感想は」
何よ。これぐらいで私が彼を嫌いになったとでも思っているの?
「そんなこと言ってないじゃない。でも・・・怖いのね」
怖い?私が、彼に対してそんな気持ちを持っているの?
確かに見たときはすごく驚いたけど、そんな・・・・・・
「自分に嘘ついてどうするのよ。わかりやすすぎて態度に出てるわよ?身体が震えてるもの」
彼女に言われてようやく気づいた。私の体は確かに震えていた。
何故。そんな、やめて・・・
「ふふふ・・・いいわいいわ。そうやって混乱してなさい!アタシたちの計画を邪魔して、サリ達を傷つけた報復を与えてあげるわ・・・・・・さあ、目覚めなさい。ミルカ!!」
意識が無くなる前、倒れる瞬間に彼女が布を取った。
そこに見えたのは・・・・・・・・・
確かに、私を虐めていた元料理人、ホシハ先輩だった。