第6章 悪夢の中の貴方
目が覚めると、私は王宮の自室のベッドにいた。
あのあとやってきた市場の人が、8型魔法を使える人を呼んで応急手当をさせ、王宮にわざわざ伝令を伝えてくださったらしい。本当にいい人に助けられた。
起きたとき傍にいたのは王宮魔道士の女性で、私が受けた傷の手当をしてくれていた。
聞くとジャーファルさんはまだ目覚めていないらしいが一命は取り留めたようで、とても安心して力が抜けてしまった。
(良かった、彼が無事で)
自分だって危険な目にあったのに、
私は自分のことよりも彼のことが不安でならなかった。
彼は私を庇って深い傷を負ってしまった。早く、謝りたい。
そう思いながら寝返りを打つと、耳鳴りがした。
「うっ・・・・・・!」
「え・・・だ、大丈夫ですか!?」
「・・・大丈夫、ただの耳鳴りです。治療、ありがとうございました」
私は魔道士様ににこりと笑いかけ、ゆっくりと上体を起こしてみた。体は軽かった。
「大体の治療は終えました。傷跡は殆ど残らないと思いますよ。浅くて本当に良かったです、それでは」
魔道士様はそう言ってお辞儀をし、部屋から出ていった。
(さっきの耳鳴り、なんだったんだろう・・・)
急に来た高音は、私の頭を貫くかと思うくらいだった。
まあ、傷を負って倒れたくらいだし、たまにはそんなこともあるだろう。それよりも早く彼の様子を見に行かなくては。
私はそう思い、立ち上がった。足にはまだ痛みが残っていたけど、歩けないほどではなかった。
念のため壁に手をつきながら、私はジャーファルさんの部屋へと向かった。