第5章 ネックレスは悲劇を呼ぶ
「うあぁ・・・・・・!!」
「!?ミルカっ!」
足を抑えて声を挙げる私が気になったのか、ジャーファルさんがこちらを見ていた。
その顔はだんだん先程よりも狂気に満ちてしまっていた。
「貴様・・・!」
彼はサリさんではなく、シャナさんを見ていた。
そう、私の足を斬ったのは・・・・・・・・・短刀を握ったシャナさんだったのだ。
彼はただ恐ろしい顔で眷属器を振り回していた。
その身体がいくら斬れようと、血が出ようと、私を守ることだけを考えているようで、時折私の名前を小さく呟きながら戦っていた。
私は足が斬られ、痺れるような痛みが広がっていた。
これではもう、歩けない・・・・・・
だからって、こんな結末なんて・・・嫌よ・・・・・・・・・
私はまだ死にたくない。彼を死なせたくない。
彼が私を守ってくれているように、私も彼を守りたいから。
「いやああああああああああああああっ!!」
私は大きく口を開けて叫んだ。
その叫びを聞いたのか表の道が騒がしくなり、足音が聞こえてきた。
「ぐっ・・・まずいわ。シャナ、大丈夫!?」
私の叫び声にひるんだサリさんが油断したのを、ジャーファルさんは見逃さなかった。
彼は疾風ほどの速さで彼女からネックレスを取り返し、私の首につけてくれた。
私はその時にはもう、意識が半分なくなっていた。
「いいこと・・・必ず、あんたたちを嬲り殺してあげるわ!あんたたちの幸せそうな運命なんて、引き裂いてあげる!!そして、そのネックレスも奪ってやるからね!」
意識がなくなる前、最後に聞いた声は怒り狂うサリさんの声だった。