第5章 ネックレスは悲劇を呼ぶ
私は必死に地面を這いずり、サリさんの足を掴んだ。
「かえ・・・してっ・・・・・・!!」
「・・・しつこいなあ。あたしたちのことを話されても面倒だし、殺しちゃおうか?シャナ」
「そう、だね・・・任せる。・・・と思う」
殺す?
私を?
私はただ、宝物を取り返したかっただけなのに。
何もできずに、終わってしまうの?
再び手をかざされる。死の予感が近づいてくる。
嫌だ、いやだ、いや・・・!!
助けて・・・お願い。
助けて、ジャーファルさんっ!!
声にならない叫びを挙げた時、彼女の魔法が放たれた。
私はぎゅっと目を閉じ、最後の瞬間を待った。
しかし私の身には何も起きず、不思議に思って目を開けると、
―――――――大好きな、ジャーファルさんがいた。
「じゃーふぁるさん・・・」
「大丈夫ですか?ミルカ。すぐに終わりますから、安心していてください」
彼は優しい言葉とは裏腹に、怒った声で私に告げた。そしてサリさんの方を向くと銀色に光る眷属器を出した。
彼はさっきの攻撃を私を庇って受けたようで、腰のあたりから血が流れていた。
(・・・・・・!!)
「私のミルカに何してくれるんですか・・・それは彼女の宝物で、彼女の所有物です。貴女たちが持つ権利はない」
「それがなんだって言うのよ?そんなの関係ないわ。あたし達にはこれが必要なの。持っていく理由はそれだけよ」
「何故必要なのかは知りませんが・・・私の大切な人を傷つけた罪は変わらない。一太刀、受けていただきましょうか」
ジャーファルさんは低い声で呟くように言ってすぐ、サリさんの元へ駆け出し、眷属器に雷を纏わせ彼女に向けて放った。
一方サリさんはそれをかわし、闇色の魔法を上手く利用して戦っていた。
ジャーファルさんの腰からは絶えず血が流れていて、地面を赤く染め上げていた。
早くお医者様に見せないと、危ないわ・・・!
私は腐臭が漂う場から離れて助けを呼ぼうと頑張って身体を起こした。
そして一歩足を踏み出した。でも、二歩目を踏み出そうとした時には私の足には傷が付き、真っ赤な鮮血が溢れ出ていた。