第5章 ネックレスは悲劇を呼ぶ
彼が落ち着いたので、私は煌帝国産の美味しい紅茶を淹れてお茶菓子と共に彼の部屋に運び、色々と話し始めた。
こうしていると、ジャーファルさんと出会ったばかりの頃を思い出すなあ。
二人で色々話して、まだ起きていた文官さんに見つかりそうになったこともあったし、今と同じくらいいい思い出だ。
「あ、そういえば君のネックレスの話を聞いていませんでしたね」
彼が飲んでいた紅茶の香りを漂わせながら言った。
そういえば確かに、その話をすることを私も彼もすっかり忘れてしまっていた。
「あ、すみません・・・といっても、大したお話は出来ませんよ?」
「全然構いませんよ。君が話すことならば私は何でも聞きますし、聞きたいので」
わくわくした顔で紅茶のグラスを両手で持つ彼に、私は祖父との思い出を語り始めた。
詳しく話すには私の過去を話すことにもなるけれど、大好きな彼なら構わない。そう思い音を鳴らす胸に手を当てた。