第3章 幸せは苦しみへ
少ししばらくして唇と唇が離れると、すぐに彼は私を強く抱きしめて、私の耳に口を近づけて言った。
「・・・そんなこと、言わないで下さい。貴女が来ない日は、寂しくて仕方がなかった。身分なんて関係なく、貴女にいてほしい。今までも、これからも。貴女の料理も、身体も、声も、すべて私のものにしたい。
・・・・・・・・・好きです、ミルカ」
夢を見ているんじゃないかと思うほど、思いもしなかった言葉が聴こえた。とても甘い声だった。
「そんな、私・・・・・・」
「・・・釣り合わない、なんて言わないでくださいね?そんなもの、関係ありませんから。貴女の気持ちが、聞きたい」
もう、後には引けない。
「私も、好き・・・です・・・・・・」
少しして、彼が私を強く抱きしめた。
「痛いです、ジャーファル様・・・・・・!」
「様付けはやめなさい。これから私たちは・・・・・・
恋人同士、なのですから」
幸せだった。いや、これからこの幸せが続くんだ。
それが嬉しすぎて、私は本当に夢を見ている気分になった。
大好きな彼に、思いが伝わった。これからずっと、そばにいられる。
本当に嬉しくて、私の目からは涙が出てきた。
彼がそれに気づいて、指で拭ってくれた。
そんな些細な仕草も、そんな笑い顔も、貴方のすべてが、大好きです。
いつかそう伝えたいと、心の中で思った。