第1章 茶会での出会い
乃木は暫く信長と話をすると帰って行った。
それを城の天守閣から秀吉は見て、本当に怪しい行動をしているのかと考える。
彼は長い間織田家に仕えており、信長を尊敬しており何時も力になっていた。
だが乃木が帰って直ぐに『謀反を企んでいる可能性あり』と乃木の城に向かわせた密偵から報告があった。
「やはり、謀反を……乃木様が」
「弱そうな顔して、企むことは企んでいたんですね」
「ふん。だがまだ確定した訳ではない……秀吉。確定する為には情報が必要だ。朱里から頑張って情報を聞き出せ」
「はっ」
秀吉は必ず情報を聞き出すと誓った。
敬愛して尊敬もしている君主の為ならば何でもしたい……まるで忠犬のような男。
一刻でも信長の役に立ちたい秀吉は直ぐに自分の御殿に戻り、計画を立てることにした。
まず次の仕事がない日に乃木の城に向かい朱里と会う。
きっと数回会っただけでは心を開いてはくらないだろうから、何回と会わなければならない。
もし心を開いてくれたならば、情報を聞き出す。
城のことや自身の父親の事などを。
「心を開く……か。警戒心が意外に強そうだから心配だな」
はぁ……と溜息をついていると、飼っている猿のウリが走ってきて膝に乗る。
そして甘えているのかスリスリとしてきて、その可愛さに秀吉は微笑みながら頭を撫でてやった。
「ウリは可愛いな」
ふと、ウリを撫でながらある事を思いついた。
「悪ぃなウリ。少しお前を利用するような真似をするぞ」
「キキッ?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
〜3日後〜
何度か手紙のやり取りをして、乃木の城に向かう日にちになった。
予定を合わせたりしていると3日かかり、少し失態したなと秀吉は頭をかく。
本当ならば早めに行きたかった。
今も乃木は信長に対して無謀について考えて、計画しているなばそれは進んでいる。
そう考えながら馬小屋で行く準備をしていると政宗がやって来た。
「よぉ、秀吉。今日だったな、あの姫さんとこに行くの」
「政宗か。ああ……少し気が重い」
「別に大丈夫だろ。お前は人たらしだから、直ぐにその姫も心を開くと思うぞ」
「だと良いんだかな……」
「ウリ、連れていくのか?」