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【イケメン戦国】忘却草ノ恋心【豊臣秀吉】

第1章 茶会での出会い


微笑みながら、前に光秀が違う姫にしていたように真似てやってみた。
だが何故か朱里姫の瞳には警戒の色が濃く浮かんでいた。
俺に警戒をしているのだ。


これは‥‥誑かすのは難しいと思うんだが


内心焦りながら、首を傾げてみたりする。
それでも朱里姫は俺を用心深く見てきた。


「姫様!ここにおられたのですね!」


変な沈黙が続きそうな時、若い女の声がして俺と朱里姫の間に入ってきた。


「もう、急にいなくなられるから驚きました!」


服装から女中。
そんな女中に彼女は何度も頭を下げていた。



「あら‥‥これは豊臣秀吉様。姫様に何か?」


「いや、少し声をかけただけだ。君は朱里姫の女中か?」


「はい、女中の綾と申します。申し訳ありませんが、姫様は言葉が発せれません」



女中は何か俺に対して警戒をの目を向ける。
そして綾‥‥は背中に朱里姫を隠していて、彼女は綾の背中の向こうからこちらを見ていた。


どうやら俺が気になりはしているようだが、怖いようだ。
警戒から少しの恐怖になっていた。



「知っている。ただ、乃木に君の父君からよく朱里姫の話を聞いていたからどんな姫なのか気になったんだ」


「そう‥‥ですか」


すると姫は綾の袖をクイクイと引っ張り、何やら訴えていた。
口をパクパクさせて何かを言っている。


「あっ、本ですか?待ってください」


綾は袖から本と、筆に持ち運びできる小さな硯に墨を取り出した。
それを朱里姫に渡して、彼女は何かを本に書き出し俺に本を見せてきた。


そこには


『何かご用でもでしょうか?失礼ですが筆談でしか会話ができません』


と書かれていた。
筆談での会話も大変だろうにと思ったが、彼女が言葉を表すのはこれしか出来ないのだろう。



「用事という用事ではないのですが‥‥あー‥‥茶会は楽しんでますか?」


『はい。見事な桜ですね、凄く綺麗でとても素敵です』


サラサラと早く書いているのに、達筆。
読みやすく美しい字だ。


「確かに見事な桜ですね」



これは‥‥警戒が解けている?
なら話が聞きやすいな


思ったよりも早く警戒を解いてくれているようで、俺は一安心した。
これだったら探りを入れることも出来て、信長様の役に立てると思った
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