第1章 茶会での出会い
そう言われた俺は、牡丹の着物を着た女を探した。
牡丹の着物を着た姫君と辺りを見渡していると‥‥
「秀吉様~!お久しゅうございますぅ!」
突然声をかけられた。
猫なで声の、俺な嫌いた種類の女だ。
しかも辺りには何故か数人の姫君が達が集まっている。
面倒だな‥‥早く朱里姫を見つけたいんだが‥‥
「秀吉様は相変わらず格好いいですわ!」
「ああ、それはありがとうございます」
適当にあしらうが、姫達は消えてはくれない。
どうすればいいのかと、悩んでみた。
「姫君達、朱里姫がいる場所はご存知かな?」
面倒なので姫の居場所を聞いて消えようと考えた。
そして聞いてみると、数人の姫君達は嫌そうな顔をしてからコソコソと話し出した。
耳を澄まして聞いてみると、悪口だ。
貶している。
「あの姫、言葉話せないのよね?」
「可哀想なふりして男を騙してるって噂よ」
「秀吉様、朱里姫にどんなご用事で?」
聞こえてる事が分からないのかコロッと表情を変えて、俺にそう聞く。
その瞳や声、話し方が気持ちが悪い。
「ああ、話せない用事ですね。で、居場所は分かります?」
早くこの場を去りたいんだが‥‥
「朱里姫なら、そこにいますよ」
一人の姫が、ある場所を指した。
そこには牡丹の着物を着た、少し小柄な姫がいる。
先程気になった姫君だった。
あの姫が‥‥乃木の娘か
「ありがとうございます」
俺は素早くその場を去って、朱里姫の元へと歩いた。
彼女は漆黒の髪の毛で手入れを綺麗にしているのか、輝いて見える。
まあ、どの姫も手入れはしているけどな
「すみません、朱里姫ですか?」
彼女は俺の方に背を向けて、桜を眺めていて声をかけるとゆっくりと振り向いた。
藤色の珍しい瞳に、薄い桃色の唇。
顔が整った姫だというのが第一印象。
そんなに絶世の姫ではない。
「俺は豊臣秀吉ともうします」
そう言ってみたが、彼女は困った表情で焦っていた。
彼女のその表情を見て俺はあることを思い出す。
言葉が話せない‥‥だったな
「話さなくてもいいです、朱里姫。よろしければ俺の名前を覚えてください」