• テキストサイズ

【イケメン戦国】忘却草ノ恋心【豊臣秀吉】

第1章 茶会での出会い


〜秀吉side〜

子犬を撫でながら、柔く微笑む朱里殿を見ながら少し考えた。
恐らく他の姫達より性格は良い方だろうし、もしかしたら父に謀反の疑いがあるのを知らない可能性もある。

そんな姫を騙して誑かして、情報を聞き出す。
何とも嫌な行為だと思いながらも犬を撫でて、ウリも撫でてやった。


(嫌としても、これは信長様の命令だ)


自分にそう言い聞かせてから、俺は朱里殿とあまり長いとは言えない時間を過ごした。
そして時間が経ち、俺は安土城へと戻る事にする。
あまり長居しても良くはないだろう。


「さて、俺はそろそろおいとまします。朱里殿、今度は二人で茶屋にでも行きましょう」


柔く微笑みそう伝えた。
すると朱里殿は首を傾げながらも頷き、茶屋に行く約束をしてくれる。

警戒心が解けているのか。
そう考えるとこれは情報を聞き出すのは簡単かもしれないと思った。
警戒心を早々解いてくれれば誑かす事もしなくて良いかもしれない……そう考える。


『またお話しましょう』

「ええ。それでは」

「馬小屋まで案内します。姫様はお部屋にて大人しくしててくださいませ」


綾は相変わらずの仏頂面で俺を案内する。
そして馬小屋近くになれば、俺の馬がいて丁寧に扱われていた。


「茶屋の件ですが、姫様一人で行かすつもりはありませんからね」

「それは残念だな。俺は、朱里殿の二人で会いたいのだがな」

「女たらしですか。それではまた!」


少し怒りながら綾は俺に背を向けて歩き出す。
あの姫の警戒心を解くよりも、この女中をどうにかしなれければと思いながら俺は馬に跨る。

そして溜息をついてから城から出て安土城へと向かった。
今回城に来て感じた違和感や、乃木が娘一人を残して出ていくこと。


「普通、娘だけを置いていくか?」


何故そのような事をするのか。
俺は色々考えながらも馬を走らせて行き、少し時間をかけて安土城に辿り着いた。

城に辿り着いて、御殿に向かいウリを置いて直ぐに信長様が居られる天守閣へと足を進めた。


「信長様、秀吉でございます」

「入れ」


短くそう言われて、俺は障子を開ける。
そして机に肘を乗せて煙管を吹かす信長様の方へと向かい、近くに座った。


「どうだった。乃木の城と娘は」

「違和感だらけですね」
/ 31ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp