第1章 茶会での出会い
〜秀吉side〜
部屋の中を見ると本棚が二つに、机と化粧箱などが置いてあり本棚以外全部は姫らしい。
だが勉強好きなのだろうかと俺は少し関心した。
他の姫達は化粧や貝合わせを楽しみ、町娘は働いているが勉強はする者は少ないだろう。
しかも英語となればだ。
「英語を学んで、何かしたいとかあるんですか?」
『いつか、海外を見てみたいのです』
「海外を……」
『海外には日本では伝わってない事や、伝わってない物などがあります。私はそれを見てみたいのです』
その考えが信長様と似ていた。
信長様も海外の事に興味があり、日本にない物をいつか見てみたいとも仰っておりよく海外の物を取り寄せている。
この姫もそうなのか……と俺は少し驚いた。
よく見ると信長様もお持ちしている地球儀が置いてある。
そして海外製の瓶や花瓶にがらすぺんというのがあった。
(凄いな……集めているのか?海外の物を)
ふと机に置いてある本に目がいった。
その表紙には海が描かれおり、岩には魚のヒレを持つ女が描かれている。
何故足が魚で上半身は人間なんだ??
と俺は訳が分からずにその本を手にしながら首を傾げた。
すると隣に朱里殿が立っていて本を見ている。
「あっ……。この本も外国のですか?」
『はい。それは海外の童話の人魚姫というお話です』
「人魚姫……??」
『一人の人魚は海の上にいる人間の王子様……日本でいうとお殿様の息子のような存在ですね。その方に恋をしてしまったのですが、人魚なので地上に上がる事は出来ないので、海の魔女にお願いして人間にしてもらったんです。そして、人間にする代わりにと声を失いました』
朱里殿は人魚姫の話を教えてくれた。
王子に愛を貰えなければ泡となって消えてしまうと言われてしまう。
王子と会った人魚姫は彼から可愛がられるが、王子には愛する隣国の姫君いてだけどその姫君は修道院に入った。
それで諦めて、姫君と瓜二つであった人魚姫を愛すことにしたが隣国の姫君との縁談が入る。
勿論王子は喜んで姫君を妃として迎えた。
悲しみに人魚姫の前に魔女と契約した姉達がきてナイフを渡して『王子を殺してその血を浴びれば元の人魚に戻れる』と言う。
だが、人魚姫は王子を殺さずに泡となって消えた。