第6章 見合い?
「ちょ、・・・」
体勢はすぐに立て直せる。
普段なら。
自慢じゃないけどそこそこ運動神経はいい方だ。
けれど相手はこの人。
手加減もなく無理やり引っ張られた先、私は先生の身体めがけてダイブさせられた。
ホント、まさにダイブ。
胸に飛び込む感じで。
「ぉ、・・・」
バフッ!と。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
しばし沈黙が流れる。
小柄な割に惚れ惚れするほど引き締まったこの人の身体は、相変わらず見事なものだと服の上からでも充分に分かった。
その胸に片頬を埋めてフリーズする私の頭を、先生の手がポンポンと撫でてくる。
「・・・・・・なんなんですか・・・」
「メイリー・レティシアを満喫している」
「勝手に満喫しないで下さい」
突き放して言うがこの手は先生を拒まない。
トクトクと一定のリズムで刻まれる先生の心音に耳を当てながら、慣れた体温に包まれるのはどうにも心地よくて離れがたい。
そんなつもりもないのに気づけば目を閉じている。
髪を撫でられ、耳たぶを指先で弄ばれ、くすぐったさに目を閉じたままたじろげば宥めるように優しく背を叩かれる。