第6章 見合い?
「・・・・・・どんな人ですか?相手の人」
「知りたいか」
「・・・・・・答える気がないなら結構です」
可愛げもなく呟けば、表情を変える事もなく先生が私を見下ろした。
膝にくっつけた左頬とは反対側、やや冷たい空気に晒した頬に先生の右手が伸びてくる。
もう片方で繋いだ手はしっかりと握ったまま、やんわりと肌を撫でられた。
いくらか体の向きを私の方へと変え、耳やら目元やらを優しげに撫で回してくる先生の手。
優しげな指先には今にも懐きたくなる。
意地だけでそれを堪えて小さく口を開いた。
「なんですか・・・・・・?」
「斜め下からの上目遣いにグッときた」
「普通ホントに思ってても本人に言いませんよ」
しかも無表情で。
冗談なんだか本気なんだか見極めるのも難しい。
サッカー部とか野球部とか、学校の屋上にはグラウンドからの健全な音と声が届けられる。
少しだけ寒い、爽やかな秋空の下、あんまり健全ではない私と先生はしばらくお互いをじっと見ていた。
すると不意に、右手の上に重ねられていた先生の手が退いた。
それをどうと思う間もなく、今度はクイッと手首を引かれる。
バランスを崩しかけた私は咄嗟に膝から顔を上げた。