第6章 見合い?
「・・・・・・メイリーよ」
「なんでしょう」
「なぜ拒む」
「なぜってそりゃあ」
学校ですから、ここ。
素直にそう答えれば、先生の眉間に刻まれている険しい縦皺は余計に深くなった。
「堅いこと言うな。キスくらいさせろ」
「嫌です。ここ屋上ですよ。フェンスから下覗けばサッカー部が玉蹴りしてる健全な学校の屋上です」
「どこだろうと関係ねえ」
「ありますよ。教職離れる気がないならさっさと退いて下さい」
教師と先生の馬鹿みたいな攻防はしばらく続いた。
だが私が意地でも受け入れないと分かったのか、先生はフンと不機嫌に鼻を鳴らすと渋々と言った様子で身を引いていく。
この肩から手を離し、私の右側で壁にドサッと凭れ掛かる不機嫌な大人。
ブスッと。
もしも言葉で表すならきっとこうだ。
横から覗き見る先生は明らかに不満げな表情で口をへの字に曲げている。
欠片の可愛さもない。
むしろ凶悪さが際立って怖い。
真っ当な大人であれば普通はやらない幼稚な態度に思わず溜息が出た。