第6章 見合い?
「先生、見合いするんですか?」
「・・・・・・あ?」
怪訝にひそめられた眉。
ギロリと凶悪に私を捕えたこの人の鋭い眼光はまさしく殺人鬼のそれだ。
顔の両横には先生の手、目の前には先生の顔が。
生徒の逃げ道を阻んでキスを強要してくる教師の肩を押し返しつつ、こんな時になぜか口をついて出てきてしまったのはちょっとした問いかけだった。
ところが空気を読まずに投げつけた質問はあっさり流され、舌打ちと共に更に迫られる事になる。
重なる距離。
私は咄嗟に右手で先生の口元を覆った。
むぐっ、と。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
とても不満そうな顔で睨まれた。
「・・・・・・先生、カオ怖いですよ」
「そうか。怖くて痛い事されたくなかったら手を退けろ」
何をする気だ。
拳の下、もごもごと言われて青ざめながら手を離した。
するとすかさずガシッと両肩を掴まれて、逃げ腰に下がろうとするが背後には無情にも頑丈な壁がある。
いつにも増して迫力のある顔と行動には、恐怖半分、呆れ半分だ。