第5章 最強教師とエロ教師
「・・・・・・」
この、たまに出してくる甘えたような仕草。
これはちょっと嫌いじゃない。
基本的に無表情、かと思いきや割とよく笑い、そのくせこうして甘えたになる時には少し怒っているのかと思ってしまうくらいの真顔になる。
実に分かりにくい人だ。
僅かばかりの力で緩く手を握り返すと、元々ない距離をさらに詰められた。
三十路が甘えてきた所で可愛くもなんともないが、小指の爪の先程度も嬉しくないかと言うとそうでもない。
「実は結構ショックだった。人が善意で言ってやったってのにお前は変態扱いしかしねえ。AVごときに負けた気分だ」
「あなたメンドくさいな」
「おい、そろそろ泣くぞ」
思わずふふっと笑いが零れる。
それはいつものような軽口ではないと分かる、珍しくどこか気弱な物言い。
最近になって時々見せてくるようになったこの人の子供っぽい表情は悪いものじゃない。
先生の手を今度はしっかり力を込めて握り返し、下から仰ぐようにしてその顔を目に映した。