第4章 大人の階段
「・・・先生・・・。分かったかも、私」
「何が?」
「Bards of a feather flock together」
体を引き寄せられて抱きしめられているに近い状況の中、私は先生を見つめて至近距離で口を開いた。
類は友を呼ぶ。
私を初めて見た時に先生が思ったというその言葉を、今度は私が先生に告げる。
「先生は花火見たってあんま心動かない人ですよね?」
「なんだそれは。俺だって人並みに感動くらいできる」
「演技か嘘でしょう、それ」
二人して口角が微かに上がる。
傍から見れば意味の分からない会話も、私と先生との間ではこうして成り立つ。
先生は私が何を思って言っているのか、正直に理解をして言葉を返しているのだろう。
それは今に始まった事ではなくて、屋上に会うようになってからずっとそうだった。
綺麗なものには近づきたくない、自分でも説明できないこの感情を、他の大人とは何かが異なるこの人は何も言わずに許してくれる。