第3章 夏休みのご予定は?
「だから違えっつってんだろ、しつこいなお前も。そんなに俺をそっちの趣味に仕立て上げたいならお前が実験台になれ」
「意味分かんないです。先生って全然それっぽくないですけど一応は教育者ですよね?論理性って言葉知ってます?」
行方不明の起承転結には自ずと言い方もきつくなる。
可愛げのない厭味を投げつけてやると先生は声に出して笑って、仕返しとばかりに身を引く私の腕を掴んで引っ張った。
子供扱いとしか取れない仕草で私の頭をよしよしと撫でてくるが、次いで出てきた言葉は子供相手に言うものでは決してなかった。
「ヤなガキだなおい、言わすぞコラ。そんなに自分の立場思い知りてえんなら今ここで犯してやる」
「・・・・・・それ、素ですか・・・?」
いよいよ危なくなってきた。
口から飛び出してくる発言に節度がない。
表情に至っては悪役が浮かべるタイプの笑顔だ。
壁伝いに体を横へとずらし、極力先生から離れようとする。
しかし掴まれた腕は放されることなく、冗談なのか本気なのか、その歪んだ微笑が心底不気味だ。
キスされた辺りで、もう少し警戒心を強めておくべきだった。