第3章 夏休みのご予定は?
「で?夏休みの予定は?」
まだ言うか。
「・・・・・・なんでそんな気になりますか・・・」
「おもしろいじゃねえか」
「・・・私、ホント嫌いです先生のこと・・・・・・」
他人の不幸を笑い種としているこの人は、内心だけで笑っている私よりもよっぽど悪質だ。
半眼になって先生を非難していると、やはりと言うべきか先生は懲りずに私の頭を撫でてきた。
やめてほしい。
私は溜息をつき、先生から顔の向きを逸らして投げやりに言った。
「・・・・・・花火大会行きたいって言われました」
毎年この時期になると、地域一帯を挙げて大々的に宣伝活動が実施される花火大会。
開催場所は私が住んでいる所からすぐ近くだけど、規模が大きく広域に渡っているから多分先生も知っている。
そして案の定先生は、私の隣で納得した様子の表情を浮かべていた。
「すげえめんどクサそうな顔してるぞ。お前、人ごみとか嫌いだろ」
「あんま好きじゃないかもしれません。行きたくないとも思ってますよ、正直」