第3章 夏休みのご予定は?
内心でほくそ笑んでいた最中、直前までとは内容とは百八十度変えて話を振られた。
極力顔には出さずに他人の不幸を喜んでいた私だが、とうとう読心術まで身につけたのかと危機感を抱いて先生を見上げた。
いい気味と思っていたなんて知られたら、幼稚な報復を実行されそうだ。
「・・・なんですか、急に」
「めんどくさくなってる彼氏はどうすんのかと思ってな。ヤケなんか起こす前に教育者として不純異性交遊は止めてやんねえと。
相手年下なんだろ?微妙な時期に責められんのは絶対に女なんだぞ」
どうやら心は読まれていないようだ。
最初の話題を蒸し返されただけだった。
先生を見て楽しそうな雰囲気を感じ取り、下世話な話が好きなのだろうと理解する。
「・・・・・・分かりませんよ、そんなの流れですし。何かあるにしたって私もそこまで馬鹿じゃないです。不純異性交遊なら今ここでしましたが」
クスクスと洩れる先生の笑い声。
そこに反省の色はない。
「大人の階段登れたか?」
「先生ってどういうとき真面目に生きるんですか?」