第3章 夏休みのご予定は?
よくもいけしゃあしゃあと。
こういう人間がいるせいで、純愛を貫く年の差カップルに要らぬ邪推が及ぶのだろう。
先生を嫌な目で眺め、またもや頭の上に伸びてきた手を押しのけた。
しかし先生は私の反応を満足そうな様子で受け止めている。
余裕綽々な目がこの上なく気になるが、盾を突いてみたいとしても私にとっての利点は一つもない。
暑さの中でやる気はどんどんと低下していった。
まだ七月も数日が経過したばかりだというのにこの気温。
これでは先が思いやられる。
一ヶ月後、私は夏休み真っ只中だが、隣のこの人は真夏のグラウンドに顔を出さなければならない。
毎日真面目に通い詰める必要はないらしいけど、強豪校とされるこの学校の陸上部であれば夏の大会引率は免れないだろう。
女子陸上部の顧問として。
指さして笑ってやりたくなる程いい気味だと思った。
「レティシア」
「何ですか」
「夏休みの予定は?」