第3章 夏休みのご予定は?
淡々と言い放つと先生は噴き出した。
笑わない人だと思っていたけど先生は意外にも結構笑う。
短くなった煙草を携帯灰皿に押しつけつつ、いつまでもくすくすと肩を揺らしていた。
「なんならついでに抱いてやろうか?」
未だ笑いも絶えない様子で、先生はさらりと私に言い返した。
教師の馬鹿げた発言に、遠くを眺めて冷ややかな目を晒す。
「先生、淫行で捕まりますよ?私早生まれでまだ十六にもなっていないし、将来結婚するとか何とか言って言い逃れすることもできないですし。せいぜい頑張ってください」
目線と口調い思いを込めて心からの嫌味を言ったつもりなのだが、なぜかそれは先生に気に入られてしまった。
満足気に髪を掻き乱され、振り落とすのも億劫になってげんなりと前を見続ける。
「お前はどこでそういうの覚えてくるんだ?」
頭を撫でて子供扱いされながら、問いかけられた言葉に目線を上げた。
「友人にすげえ頭いいのがいます。ここにもそんな感じの条例あるんですよね?淫行条例?」
どこの地域にも置かれているはずの条例。
先生は思い出すように、数回コクコクと頷いた。