第3章 夏休みのご予定は?
暫くして唇が離れ、顔と体も放される。
一度先生の顔を目にしてから私も体勢を元に戻し、壁を背にして凭れかかった。
そして同じく座り直す先生を横目に見て、何事も無かったかのように煙草を吸っている姿に呆れた。
「先生のこれは何目的ですか?」
「さあな、なんとなく。お前見てると面白い」
「コレって軽く犯罪ですよね」
悪ふざけにも程がある。
しっかり応じてしまった私がどうこう言えたものではないかもしれないが。
無責任な返答には呆れを通り越して笑いさえ零れてくる。
可愛げの要素もない薄笑いを浮かべる私を見て、先生はくすくすと肩を揺らして笑った。
「そういうお前は逃げもしねえんだな?」
私が逃げることを期待していたからには、突然の強行という自覚が本人にもあるらしい。
顔を向けてそう言われ、誤魔化そうかとも思ったが無理があるなと考え直した。
何かを言い訳したところで、してしまったものは仕方ない。
「暑いのと相手教師ってこと忘れればハマるかもしれません。あと煙草はイヤ。嫌そうな人の相手すると手慣れてくるものですか?」
「お前は動じるってことを知んねえのか。その年で達観するなよ。一応誤解無いように言っとくけど、今話した女は例外中の例外だ」
「じゃあ私のことはこれ以上例外に入れないでくださいね。このままいくと私、先生に抱かれそうで怖い」