第3章 夏休みのご予定は?
自分の日常的喫煙行動を棚に上げて何を言い出すのだろう。
眉を潜めて聞き返すと、先生はフッと口元を吊り上げた。
「今のうちから煙草にトラウマ持たせといてやるよ」
「・・・・・・結構です」
なんとなく見当はついた。
だが先生は私を離さない。
「クソかわいいな、お前」
少し、引く。
生徒相手に可愛いなどと、この人はどうやら重傷だ。
だけど私の予想は的中していて、その時既に、口の中には再び煙のにおいが広がっている。
好みにはなりそうもないその味に顔を顰めるが、私の腕を掴んでいた先生の手が保温に当てられた時には自然と目を閉じていた。
なぜならやはり、嫌じゃないから。
濃厚なキスというものに免疫がないからか、クラクラと頭から足先までが浮つく。
腕を引っ張られて、それでも私が抵抗するつもりがないのをいいことに後ろ頭へ的中を伸ばしてきて抱き込まれた。
深く唇を合わせられ、翻弄するように舌が動く。
変に官能的なその動きに誘われないこともないが、しかし今一番私が思うことはただ一つ。
暑い。
とにかく暑い。
真夏の太陽の下、人間二人でくっついているから当然だろう。