第3章 夏休みのご予定は?
ぞくぞくする。
頭の片隅では、何をしているのだろうかと疑問に思える程度の理性が働いている。
ちゅっと小さな音が立って、先生の顔は離れていった。
「・・・・・・」
変わらずその手が私の頭を撫でている。
気まずさというよりも心の中には不思議な感情が募り、私は内心で頭を捻らせながら斜め下に目線を向けた。
「先生・・・さっき、重要な思い出とか言ってましたけど・・・」
「ああ」
私の問いかけに応える先生。
その普段通りの声色に心なしか安堵した。
近い距離で先生の顔を見て、片腕でほとんど抱き寄せられているのにも抵抗はしない。
「あんまり重要じゃないです、その話」
正直な感想そ言い放つと先生は破顔した。
ようやく私の頭を放し、肩を震わせて笑いながらまだ長い煙草を銜え出す。
濡れた感じを受ける唇は、目のやり場に困りそうだから見て見ぬ振りをした。
「つまんねえなクソガキが。なんでお前は何しても普通なんだ。もっとあるだろうよ、他に言うこと」
「だって先生ロリコン趣味ですし」
「それは誤解だ」