第3章 夏休みのご予定は?
自分で言ってみて、先生を上から下まで眺めながら頭の中で想像した。
先生に子供。
「・・・似合うような似合わないような・・・。どっち転ぶか思いっきり賭けですね。たぶん駄目そうな気がする」
「お前ホント失礼だぞ。少しは俺を敬えよ」
「敬ってるじゃないですか充分」
敬語だし。
そう呟くと先生は何が楽しいのか口の端を吊り上げた。
乗せた手で頭をぐらぐらと揺すって、暑さとの相乗効果の中で気分の悪くなる私を面白そうな顔をして眺めてくる。
今し方の大人の雰囲気はどこへ旅立ったのか。
基本的に無表情なこの人だけど、考えていることは何かと問題が多い。
教師のくせに教師らしくないことばかり言い連ねる先生の言葉の数々。
それが何よりの証だろう。
私の目の前で、先生はまたもやそれを実証した。
「親切心でいいこと教えてやるけどな、人生に未練なくなるまで子供持ちには絶対なるな。ガキはうるせえし無駄に金はかかるし、家事は大変だし。
新婚当初すげえ優しい女とか男も子供ができた途端鬼みてえになるんだぞ。自分とガキだけいいもん食ってるくせして、昼飯代込みの旦那の小遣いはどんどん削ってってな。
男は家事全部妻に任せて、子供の教育も全部押し付けるんだ。
休日に家で寛いでると、そのうちアナタ邪魔よとか言って掃除機で吸い始めるに決まってる。
旦那でも言えるぞ」