第3章 夏休みのご予定は?
「んー・・・そうだな。・・・・・・分かった、その日はなるべく空けとく」
つらつらと気のない返事を返しつつ、少ししてから解放されて電話を切った。
スカートのポケットにそれを仕舞うと、早速先生は口を開く。
「彼氏か?」
「普通に聞いてきますか」
煙草を指の間に挟んで先生はふっと口角を上げた。
「聞くだろ、そりゃ。隣で面白そうな話してみれば」
「・・・面白くないですし普通どっか行きますよね?人が電話してたら」
「お前の成長を見守ってやってんだよ」
「あなたはどの立場にいるんですか」
いつものように、頭を撫でられる。
聞かれて困るということもないし、私は場所を変える意味もないと思ったから話を続けた。
しかしだからと言って子供扱いされるのも気に障る。
そしてそれ以上に、とやかく言ってこられるのは迷惑だ。
「年下で西高志望の受験生なあ。後輩か?勉強見てとでも言われたんだろ」
返答の言葉から会話の内容を推測したか。
言い当てられた私は先生の手を邪険に払った。
「・・・聞いてないようで聞いてますよね」
「随分やる気のねえ返事ばっかしてたからな。悩みがあるなら相談にでも乗ってやる」
「いりませんし、悩んでもいません。教師が生徒のこういうことに口挟まないでくださいよ」