第8章 結局格好いいリヴァイ先生
幾らなんでもここは未成年が一人で佇んでいていい場所ではなかった。
ガチガチに緊張しながら、ラウンジの片隅で肩身狭く待つこと数分。
心苦しく縮こまっている私の前に助け舟はようやく現れた。
仕立てのいいスーツに身を包んだ、正直な感想としてめちゃくちゃキまっているリヴァイ先生が。
「・・・・・・あ・・・」
「よう」
「おはよう・・・ございます」
「約束通り来たな」
「・・・・・・食べ物のために」
フッと笑う先生は、いつもと同じだがいつもとは少し違う。
普段から学校での服装はスーツだが、素人目にも分かる高級ブランド臭はこの人の良さを憎らしいまでに引き立てていた。
漂う色気と言うか男らしさは文句なしにかっこいいと言わざるを得ない。
着る物のなんてなんでもいいと言ったのは先生なのに、場の雰囲気を崩さないその姿はスマートな大人のものだ。
「あの・・・・・・」
「こっちだ」
「え・・・・・・?」
「来い」
そう言われ、強引に腕を引かれて歩かされていったホテルの廊下。
絨毯が敷き詰められた床は足音が吸収されて然程目立った音が立たない。
引きずられるままに付いて行けば突き当たったのは両開きの真っ白なドアで、しかしそんなものよりも目に飛び込んできた人物に私ははっと息を呑んだ。