第8章 結局格好いいリヴァイ先生
『シーナでランチだぞ?お前の少ないバイト代じゃそう手の届くもんじゃないだろう。どうだ。食いたくはねえか』
「・・・・・・別に・・・」
『そうか。それは残念だ。確かあそこは特製シチューが旨いと聞いていたんだが、』
「行きましょう」
やばいシチュー。
高級ホテルのシチュー。
しかも特製って付いた。
ここは餌付けされておけと私の本能が訴えている。
シチューという名詞の出現により即答した私に、電話の向こうからは満足げな含み笑いが聞こえた。
『メイリーよ。お前、案外チョロいな』
「仕方ないじゃないですか育ち盛りなんです」
『それ以上育たんでいい。だがこれで交渉成立だ。指定場所の詳細はお前のスマホに送っておく』
「さり気なく本音が混ざりましたね」
馬鹿にしたように投げつければ低い声でブチ犯すと言われた。
殺害予告よりも怖い。
「・・・・・・シーナで何かあるんですか・・・?」
『人助けだ。お節介とも言うが』
「は?」
『お前は何もする必要はない。黙って俺の傍にいろ。一生』
「はあ・・・」
『胸キュンしたか』
「しません」
事ある毎に訊ねてくるが私の胸は高鳴らない。
ふざけたこの人にふざけた事を言われてもヒクだけだ。