第8章 結局格好いいリヴァイ先生
そもそも事の起こりは昨夜金曜。
バイトが終わってから家に戻り、なんやかんやしていたら零時を過ぎていたそんな頃。
ベッドの上でゴロゴロしていると、丁度手にしていたスマホが着信を告げた。
見れば相手はリヴァイ先生。
仮にも教師がこんな時間に、生徒相手に堂々と。
そう思いつつも即座に出てしまった辺りがなんとも悔しくて、せめてもの対抗心により無意味にブスッとさせた顔で通話に応じた。
耳に届くのはもちろん、聞き慣れた綺麗な声だ。
『よう。十二時間ぶりだなマイハニー。今すぐ会いに行ってお前をこの腕で抱きしめてやりたい』
「・・・・・・」
どれだけイイ声だろうとこうも無駄なセリフに利用されるとこの人の声帯が憐れだ。
「・・・・・・どうも」
『おいコラ。ダーリンかエンジェルかベイビー呼びで返せと言っているだろうがクズか。いい加減覚えろ。そしてトキめけ』
「不可能です」
夜も遅くに絶好調だ。
少し前に色々あってから先生のウザさは三割ほど以前よりも増している。
ドン引きしながら淡々と返せば不機嫌に舌打ちされたのが電話越しに分かった。
こんなガラの悪い人をダーリンなんて呼びたくない。
エンジェルなんておこがましいだろ。
ベイビーってなんだキモイ。
ついでに私だってハニー呼ばわりされるほど甘ったるい人間じゃない。