第8章 結局格好いいリヴァイ先生
「・・・・・・先生・・・」
「なんだ」
「・・・・・・背骨イキそうです。上腕二頭筋が死滅します」
「なんだよ情けねえな。だから陸上部に入れとあれほど言っただろうが。筋トレだと思って極限まで耐えろ」
プルプルと震えるこの腕でぶん殴ってやりたい。
人の上で優雅に足組み替えやがってこの野郎。
ここが高級ホテルなんかじゃなければ。
この扉の向こうが結婚の申し入れの真っ最中なんかじゃなければ。
私達の両隣りにいるこの二人が、こんなアホな男のことを慕い尊敬している後輩の人達じゃなかったら。
このクソ教師と大声張り上げて罵り倒してやったのに。
なんでこんな事に。
どうしてデバガメ隊に所属する流れになった。
あとは若者に任せて年寄りはこの辺でお先におさらばじゃ、とかなんとか抜かして一人帰って行ったピクシス教頭。
それでいいのか。
何もかもがハチャメチャだ。
頭を抱えたいものの、現状は自分と背中に乗っているこのアホ教師の体重を支えるのに精一杯で腕を上げるどころではない。
重みに耐えかねてプルプルと激しく震えるこの両腕はもはや限界だ。
中を見守りつつも右隣から視線を落としてくる男性は、どうやらそんな私が余程不憫に思えたらしい。
平然とした面持ちで私の背中に腰掛ける先生に向かって控えめに問いかけた。