第7章 勘違い
「ぅわ、っちょ・・・・・・」
「とにかくだ。お前が心配する事は何もない。俺は見合いも結婚もしねえし、お前を離してやる気もないから安心しろ。
だが変に気を揉ませたことは謝る。辛い思いさせたようだ・・・・・・悪かったな。あそこまで学校中に話が広がるとも思ってなかった。俺の誤算だ」
ぐしゃぐしゃにされた髪を先生がまた自らの手で梳いて戻していく。
その手は私の頬へと滑り落ち、柔らか味のない優しい親指が濡れている目尻を拭ってくれる。
気恥ずかしさに俯くものの、それを追いかけてきた先生は腰を屈め、掠める程度にちゅっと頬に口づけた。
「せんせ、・・・」
「他所の事情が入るとは言え、昼間にお前が話し振ってきた時にちゃんと話しておいてやるべきだった。まさか別れ話切出されそうになるとは」
「わか、れ・・・・・・って」
「違うのか?なんだそうか、ならついでだ。俺たちのこの関係に言い逃れのできねえ名前の一つでも付けてやる」
そう言って、即座に鷲掴みにされた私の手首。
強引に加えられる力に体のバランスは簡単に崩れる。
「え、ちょ、・・・・・・ゎっ、」
ボフッと埋まったシーツの中。
背中には先生の腕を敷いて、左の手首はもう片方の手でしっかりと縫い留められている。
訪れた柔らかい衝撃には咄嗟に目を閉じ、そしてすぐ両の目を開け、まず飛び込んできたのは先生の顔だ。